2021.08.23旅とヨーガ
北アルプスの山行とヨーガ(④槍ヶ岳のサミットへ◆3日目)
上の写真には動画へのリンクが貼ってあります。ブログ記事と合わせてご視聴下さい。(これは北アルプスの燕岳から槍ヶ岳を目指した縦走登山の記録です。ヨーガのスピリットと共に歩いた4日間、様々な気づきや想いを綴っています)
3日目:槍ヶ岳のサミットへ
ついに槍ヶ岳(標高3,180m)に到着した。標高3000m越えの稜線上にテントを張るのは初めての経験、雨と強風に悪戦苦闘、そしてついに槍の穂先に立つ。人の温かさや自然との一体感を感じる瞬間がそこにあった。
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西岳からアップダウンを繰り返すこと約4時間、ついに、ガスが晴れて槍の穂先が現れた!青空に堂々とした姿を現してくれた!北アルプスのシンボル的な存在で、いつか槍ヶ岳に登りたいと夢見る人は少なくないだろう。眼前に迫る槍の穂先は迫力満点で、多くの人を魅了してきたに違いない。
槍の肩の小屋まであと200mというところで、いきなり大雨が!!!急ぎレインウェアを装着し、滑らないように注意しながらようやく小屋に到着した。バタバタの到着だったが、辿り着けたことが心から嬉しかった。
槍ヶ岳山荘でテン場代を払っていると、じきに雨が小降りになってきた。私はその期を逃すまいと、すぐテン場に向かいテントを張り始めた。山でテントを張ること3回目、まだ3回目なのだ!その内2回が雨の中、鍛えられるな~、と思いつつ、昨日よりも少しでも手際よく張れるように頑張ってみた。…のだが、やはり不慣れさは否めない(動画で不慣れさを披露しております(汗))。
悪戦苦闘している間に雨が止み、青空と太陽が顔を出し始めた。やった~!これでぬれたものを乾かせる!と思い、そこらじゅうの岩の上に濡れた手ぬぐいやグローブ、レインウェアなどを干し始めた。ランチは、そろそろ山小屋で食事がしたいと思ったけど、持ってきた食料を少しでも減らしたいので、この旅7食目のアルファ化米にお湯を注いだ。計算して持ってきたつもりの食料も、思ったほど食が進んでいないため、まだ半分以上残っていた。(1袋を朝食と昼食でシェアしているような有様…もちろん他のものも食べてるけど)
小腹が満たされてから、外に出ると濡れたものが程よく乾いていた。そして、美しい青空!そこに映える槍の穂先!時間は2時50分、そろそろ山頂へ登ろうか。
テン場から見える美しい槍と空!絶好の登山日和だ。
テラスで景色を楽しんでいる山人達に、「あの、、登頂するのにストックは持っていったらダメですよね?」とこてこての初心者らしい質問を投げかけると、「ストックはダメだよ!ストック置いて、グローブして軽装で行きな。」とやさしく答えてくれた。登山者同士のコミュニケーションは勉強になるし、良いアドバイスにもなるので有難い。分からないことがあれば何でも経験者に訊くのが一番だ。一人で悩むよりはね。
山慣れした人たちからエールを送ってもらい、尻込みする前に早速出かけた。正直、高い所が得意な訳ではない。それでも、苦手なことにチャレンジすることは、自分で思い込んでいる自分自身のリミットを広げ、心をコントロールするための修練だと思っている。できないと思い込んだら一生できない、でも自分に身体的な能力があるのであれば、心をコントロールすることで不可能を可能にすることができる。自分自身を冷静に判断し、無謀なチャレンジで無いのであれば、思い切って一歩前に踏み出す、これが私が人生において心がけていることだ。山は、肉体だけでなく心の成長をも助けてくれる。ヨーガで学んだ心と体をコントロールする術を、山で磨くことができていると思う。
山頂までは30~40分ほどの道のり。ルートを登っていくと、眼下に槍ヶ岳山荘が。こんな3000mもある山の上に、よくあんな立派な建物を建てたものだと感心する。しかし、下を見ていると恐怖感に襲われるかもしれないので(足がすくんで動けなくなったらしゃれにならない)、下を見ることなく黙々と登り続けた。
道は険しいけれど、欲しい所に足をかけたり掴んだりする金属が打ち付けてあるので、慌てずに落ち着いて進めば難しい登りではない。足元・手元を意識して、自分の周りと行く先をしっかり見つめながら歩みを勧めた。
そして、ついに、槍ヶ岳の山頂に足を踏み入れた。そこには、素晴らしい景色が広がっていた。
山頂は、ごつごつとした岩の、20人も立てばいっぱいになってしまいそうなほどの狭い空間だった。他の登山者はおらず私一人だったので、こんなパノラマの写真を撮ることもできた。
下を見ると、山荘から、「お~い!!」と声が聞こえてきた。さっきアドバイスをくれた人達が手を振っている!
私は、思いっきり両手を振ってその声に応えた。
山は簡単に、人と人との垣根を取り払ってくれる。まるで家族や隣人の様に、気楽に声を掛け合い、サポートし合う。その暖かさと気楽さが心地よい。山に来るといつも暖かい気持ちになる。自然への愛や人々の思いやり、ヨーガの調和の心を感じることができる。それは、ヒマラヤを歩いている時も同じだ。ヒマラヤでも日本でも、同じように山は人の心を開放し、自然体に戻してくれる。それがたまらなく心地よい。山は、一人で登っても決して寂しくない。いつも周りに気楽に声をかけあえる仲間がいるからだ。
下山後は、山荘のテラスで声をかけてくれた人たちと語り合った。どこの山のどのルートは良いとか、あそこのや山小屋はご飯が美味しいとか、皆それぞれの体験をシェアし合う。至福のひと時。そして私はテントに戻って、夕ご飯の準備や身の回りのことなどをする。テント泊のルーティンにもようやく慣れてきた。3000mの稜線上は風が強く夜も冷える。十分に暖かくして床に就いた。
Om S'anti.
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