アーラティー教室(ヨーガ道&アーユルヴェーダ)

Schedule etc.

2021.08.22旅とヨーガ

北アルプスの山行とヨーガ(③西岳~槍ヶ岳◆3日目)



上の写真には動画へのリンクが貼ってあります。ブログ記事と合わせてご視聴下さい。(これは北アルプスの燕岳から槍ヶ岳を目指した縦走登山の記録です。ヨーガのスピリットと共に歩いた4日間、様々な気づきや想いを綴っています)

3日目:西岳~槍ヶ岳

ヒュッテ西岳(標高2,686)から槍ヶ岳(標高3,180m)へは距離約3.6km、標高差は登り670m下り222m、約5時間程度かけた道のり。雨でぬれたテントや衣類など約17㎏を背負っての山行は、快適なゾーンを超えて自己鍛錬の域に入っていた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

昨晩、稜線上のテント場には、強い風が吹き続けていた。さえぎる物の無い稜線上で、たった一つのテントが全ての風を受け止めているようだった。雨風は一晩中止むことがなく、耳栓を付けていても外の音が聞こえていた。

朝4:00に起きると、雨はほぼ止んでいたのでお湯を沸かして朝食の準備をした。テントを開けてみると、そこには昇りかけの朝日と美しい山々があった。昨日は真っ白で何も見えなかったが、雲やガスは程よく晴れて壮大な景色が広がっていた。

気温は8度くらいだろうか、シュラフ(寝袋)に体を入れたままで、お湯をすすり体を温める。朝食はドライプルーンとカップスープにアルファ化米。これはこれで美味しいのだが、ドライな物ばかり食べていると食欲が上がらない。普段フレッシュなフルーツやお野菜が食べられることに改めて有難さを感じる。食事は味だけではない、食材のフレッシュさ、ヨーガやアーユルヴェーダでいうところのプラーナ(エネルギー・気)が、フレッシュフードに比べるとドライフード(保存食)には少ない。食べ物から元気の「気」を頂くのは少しハードルが上がる。

朝食を済ませたら、濡れたテントを拭いてパッキングに取り掛かる。できるだけ水分をふき取って重さを減らす。テントのみならず、レインウェアや服、ザック、エアマットなども乾いていないので、少しでも荷物の重量を減らそうと頑張ってみた。それでもパッキングを終えた荷物は、初日と同じかそれよりも若干重くなったように感じた。登山では、荷物の重さは心の重さに比例する…、かもしれない。

4:00に起きたにもかかわらず出発は7:20、ゆっくりしていたつもりはなかったが、濡れたテントや荷物のパッキングに手間取ってしまった。それでも朝日に照らされた山々は美しく、私の背中を押してくれた。



西岳を出発すると、いきなり急な下りが待っていた。切り立った崖にかけられた長い梯子を注意深く降り、降りきってから足場の悪い道を歩き、登っては下り、下っては登りとアップダウンが続いていった。楽な道ではなかったが、前日と違って遠くまで見渡すことができたので、気持ちが前へ前へと進んだ。



感じていたのは体の軽さだ。実際のところ、登山は多くのカロリーを消費するので、中肉中背の女性が1日6時間歩くのであれば、2200~2400kcalくらいは消費する。もちろんコースの難度や荷物の重量でも変わってくるが、フルマラソンに匹敵するほどのカロリーだ。それを連日行うとなれば、少なくとも1日4000kcalくらいは摂らなければいけないだろう。しかし私は十分なカロリーが摂れていない。登山では、「シャリバテ」という状態が危険であると言い、炭水化物が不足するとバテてしまうことを言うのだ。私はそこまでのレベルではないが、理想の量には程遠かった。



と、ここで、ヒマラヤで厳しい修行を行うヨーガ行者のことを考えた。山伏なども含めて山で苦行を積む修行者が、そんなにリッチなものを食べているとは考えにくい。修行を積めば積むほど、心身は軽くなり、五感の感覚は研ぎ澄まされていくに違いない。実は、今回の山行ではそんな感覚を感じ始めていた。十分な食事の量は摂れていないにもかかわらず、足元は軽く安定していて、感覚器官の状態も感度が増しているようにさえ感じた。山ではプラーナという生命の気が多いので、食物から十分な量の栄養を摂っていなくても、空気や水や、周りに漂っている自然のエネルギーが活力を与えてくれる。以前アーユルヴェーダドクターやヨガの師から聞いたことがある。自分を極限に近い状態まで追い込んでいくと、そういう、自然界と自分の物質としてエネルギーが合わさって、都会では得られないような、自然のエネルギーでパワーをもらうことができるんじゃないだろうか。余計なものを欲さない、体からの要求はいたってシンプルだ。都会では、あれこれ不必要なもの欲することが多い気がするが、山では、生き物が生き物本来の生体機能を十分に働かせることができるのではないだろうか。修行者が粗食で長い月日修行を続けられるのも、きっと場のエネルギーとか、飲食物のエネルギーが高いからではないだろうか。実際に、山の湧き水はとても美味しくて、とってもプラーナが高いと感じる。



そんな風に、ヨーガの視点で山を歩くと、考えや気付きがどんどん深まっていく。ヒマラヤを歩き、厳しい修行を行うヨーガ行者に想いを馳せていた。

 

Om S'anti.

★この記事の動画を観る:北アルプスの山行とヨーガ(③西岳〜槍ヶ岳◆3日目)
リラクゼーション

ご予約・お問い合わせ

ご予約・お問い合わせは
コンタクトフォームよりご連絡ください